畳の張替えを示す「畳替」という言葉は、江戸時代に新年を新しい畳で迎えたい人が多かったことから、冬の季語とされています。
このことから畳の張替えに最適な季節は冬だと思われがちですが、本当はどうなのでしょうか。
この記事では四季それぞれに畳を張り替えるメリットから最適な季節まで詳しく解説します。
1.畳の張替えの季節ごとのメリットは
畳の張替えについて理解するには、まずその構造を知る必要があります。
畳の部位名とその役割について表にまとめてみました。
畳の部位名 / 畳表(たたみおもて)
役割 / 麻や木綿などの経糸(たていと)に対しイ草を緯糸(よこいと)として織り込んだゴザ部分。保温性・断熱性・調湿作用を持ち消臭・空気清浄効果がある。
畳の部位名 / 畳床(たたみどこ)
役割 / わらを重ねて麻糸で締めた畳の芯となる部分。畳の弾力を左右する。
畳の部位名 / 畳縁(たたみべり)
役割 / 畳の縁に縫い付けてある布で畳表の補強、また隙間を埋める役割がある。
そして畳替えの方法は次の3種類です。
[1]裏返し畳表は裏返してそのまま使用し、畳縁は新しく付け替える購入後3~4年目に行う畳替えの方法です。
[2]表替え
畳床はそのままで畳表と畳縁を新しく付け替える、裏返し後5年を目安に行う方法です。
[3]新調
古い畳を処分して新しい畳と交換する、購入後10~15年を目安に行う方法です。
これを踏まえて、春夏秋冬それぞれの季節に畳を張り替えるメリットについてご紹介します。
春(引っ越し・年度の節目)
春は引っ越しや年度の切り替えに伴い、畳の張替えの依頼が多い時期です。
新しい生活を気持ちよく始めるという意味では、この季節に畳替えをするのもよいでしょう。
夏(梅雨あけからお盆)
梅雨明けからお盆はそれまでの間雨が続いてなかなか畳替えがしにくいことと、せっかく畳替えをした畳にカビを生やしたくない人が多いことから、畳の張替えの依頼が増加します。
しかし畳表に使用するイ草は空気中の水分を調湿する作用、また栄養分があるため、新品から3年目までの畳でカビの生えやすい環境であれば、いつ畳替えをしても1年以内にカビが生えてしまうでしょう。
秋(新年に向けて)
秋は「秋晴れ」という言葉もある通り天気が良く乾燥していて気温もちょうどよいので、畳替えの作業がしやすい季節だと言えるでしょう。
冬(乾燥している)
冬は気温が低く乾燥しているためカビの繁殖が抑えられたり、張替え作業の間に床板にこもった湿気を逃がせたりと畳替えには好条件が重なります。
また12月のボーナスシーズンがあるため、サラリーマンの家庭などでは畳替えを依頼しやすいでしょう。
2.畳の張替えのベストシーズンは(秋)
予約が取りやすく作業しやすいことから、畳の張替えに最も適している季節は秋だと言えるでしょう。
もちろん畳の傷み方が激しければタイミングを計るのは難しいかもしれませんが、ゆとりがある場合はぜひ秋に畳の張替えをしてみてください。
まとめ
畳の張替えをするには季節それぞれにメリットが存在しますが、畳を長持ちさせ職人さんが作業しやすいという意味で秋が最適なシーズンだとわかりました。
和室に傷んでいる畳があればそのままにせず、適宜お手入れをして気持ちの良い時間を過ごしましょう。