原因
畳はい草や藁といった天然素材でできています。そのため、革製品や食べ物と同じように高温・多湿の状態が続くとカビが生えることがあります。
お部屋の湿気を吸収する能力は、住宅内の建材・素材の中でも畳がトップクラスになります。昔の住宅は天然の木や襖・障子といった和紙、漆喰など畳と同じく呼吸をして湿気を吸収する、また乾燥時期になると吸収していた湿気を放出することで建物自身が湿度調整を自動で行ってくれていました。しかし近年の住宅は天然素材の材料を使うことが少なくなっているため、畳だけが湿度を吸収する役割を一手に引き受けているようなお部屋が増えてきました。
そのため、畳は昔よりお手入れをしてあげる必要が出てきたのです。高湿度の状態は畳以外にも悪影響を与えます。畳のカビは住宅内の高湿度危険信号といっても過言ではありません。健康で安全なお部屋作りのために、湿気の原因・対策を考えていきましょう。
<よくある原因>
・お部屋を閉め切っている 畳に関わらず、健康被害を及ぼす可能性があります。 ・掃除を全くしていない 埃はカビの成長を促進します。 ・畳の上にカーペットが敷いてある 換気をしていても畳の湿度を逃がせない可能性があります。 ・部屋干し 頻繁な部屋干しは畳の湿度吸収能力では追い付かなくなります。 ・加湿器の使用 肌や喉の健康のために行っているつもりがカビの原因となり返って逆効果になる可能性があります。
対策
今回ご紹介させて頂く対策は理想とされる環境です。生活をしていく上でタンスは必要、お掃除も隅々までは行き届かないといった事はお忙しい方やご年配の方には困難かと思われます。そういった方でも無理の無い範囲で注意して頂きたいのは、お部屋の換気や湿度調整です。梅雨のように雨の日が続く時期は「除湿機」や「エアコンのドライ」などの使用をオススメしております。一番のお手入れはその部屋で過ごして貰うことです。人の出入りによる空気の循環や歩行の圧力・振動によって畳は湿度を吐き出しやすくなります。
<対策>
・お部屋の換気 カビ対策には必須となります。風を通して湿気を逃がしてあげましょう。 ・こまめなお掃除 掃除機や掃き掃除・拭き掃除は畳の目に沿って行って下さい。 ※目に逆らって掃除するとイ草の表皮が剥がれてささくれの原因となります。 和室ではルンバなど自動掃除機は畳の目に逆らって動きます。加減も出来ないのでNG アルコール消毒液を少し含ませたタオルで拭いてあげるとカビ予防になります。 ※ベタベタはNG。薄く広く畳に馴染ませてあげるのがポイント ・可能な限り畳の上に物は置かない カーペットや絨毯、お布団などを敷いたままにしていると換気をしていても 湿気を逃がしきれない可能性があります。 ・和室で部屋干しはしない もし、部屋干しをされる場合は除湿機の設置がオススメです。 また、晴れた日にはカーテンや窓を開けて、風や日光を当ててあげましょう。
特に、納品して1~3年の天然畳はい草が青く、湿度を吸ったり吐いたりする運動が活発な時期です。湿度を吸って吸って吐けないような環境ですとカビが生えてしまいます。せっかく替えて頂いた畳は出来るだけきれいな状態で長く使って頂くことを畳屋さん・い草農家さんも望んでおります。
<もしカビが生えてしまったら…>
お近くの畳屋さんに相談して頂くのが一番です。原因と対策を一緒に考えていきましょう。
・表面に少し白い粉のようなカビが生えている → お酢やアルコールを含ませて拭き取れば間に合う段階
・表面に少しべたついた黒カビ・青カビが生えている → 費用はかかるかもしれませんが畳屋さんに相談して頂くのが望ましいです
①畳屋さんから見て現状の畳がまだ使えるのか判断 ※使えない場合はカビが生えづらい素材の畳で交換してもらいましょう ②畳を捲った状態でお部屋を換気します 畳下の床板など畳以外の腐食を防ぐためにも徹底的に換気します。 ※シロアリの蟻道や腐食が見られる場合は本格的な建物調査・大工・防蟻工事が必要です ③捲った畳は一度畳屋さんが引き取ります。ブラシやアルコール消毒液を含ませたタオルでカビを拭き取り、天日干しをして状態を確認します。畳専用の乾燥機がある畳屋さんは熱処理による畳乾燥をしてくれる場合もあります。
畳乾燥や拭き取り・畳交換を行ったところでカビの原因に対して対策をしない限り再発の可能性があります。近年、梅雨時期や夏場は異常な気温・湿度を観測しています。今まで通りにしていたのに急にカビが生えだしたとしてもおかしくはありません。カビが生えてしまったことは仕方がないことですので、しっかりと原因を突き止めて適切な対応を心がけましょう。
「全日本畳事業協同組合」引用部分あり